令和5年6月15日(木)
テーマ 『災害対応におけるジェンダーと要配慮者の視点』
鈴木 秀洋氏 (日本大学大学院 危機管理学研究科 教授)
危機管理学の視点からの災害対応として
第1.縦軸(時間軸)
第2.横軸(項目・地域)
➀インフラ・ライフラインの復旧に向けた動き
②救出救助機関などによる応急対策活動の展開
➂避難所での生活
➃住み慣れた自宅等での避難生活
➄帰宅困難者を取り巻く状況
をあげておられた。
自助.共助.公助とよく言われるが、公助が一番大切とも指摘しておられた。
今まで足らなかったジェンダーと配慮者の視点では、避難所の生活は過酷であり実態を伺うと怒りさえ覚える。子供や女性にとって耐えられない現実があるのだ。
車で避難生活する人の気持ちもわかる。住み慣れた自宅での避難を一番望むがそれも難しいのではと思っている。
あらゆる防災・復興施設に男女共同参画の視点が不可欠であるとしている。そのために必要な3つの視点として
(1)意思決定現場に女性が参画する
(2)男女共同参画部局・センターと連携する
(3)女性リーダーを育成する、男性への理解促進を図る
をあげている。
防災に強い社会は女性と男性がともに防災・復興に参画し協力することが重要だと指摘しておられる。
災害時にどのようにして子供や高齢者など「要配慮者」を守るか?
事前の連携・共助のシステム構築が重要だとしている。
妊産婦や乳児専用の福祉避難所の制度設計や運用を進めている。しかしいまだ福祉避難所が十分機能した例をみないというのだ。ずっと提言し続けて、やっと…一部…。
先生は「一人一人が笑顔で生きられる社会を目指す」との信念で
行政実務の最前線から研究者へ。そして多様な個々人の安全・安心を守る、命を守る危機管理行政を研究しておられる。
可能な限り現場に足を運び多くの人と対話することを大切にして現実の課題と向き合って解決策となる制度設計をされてきた。現場の声を大切にしていらした先生のお話は、具体的で心に響く、考えさせられる有難い内容でした。