2023.5.11消費者大学報告

2023/05/15(月)

511日(水)「行政と災害」

大正大学教授・地域構想研究所長  片山 善博氏

今年度の第188期消費者大学の年間テーマは「災害について~学ぼう!命を守るために~」である。トップバッターの講師は自治省(現総務省)を経て鳥取県知事、慶応大学教授総務大臣などを歴任された片山先生である。今回は災害と行政サイトの諸問題についてお話頂いた。

先ず、災害時は「行政によって住民の不安を大きくしてしまう事もある」とズバリ!先生は1999年春に鳥取県知事になり、早々に災害対策を抜本的に見直した。当時の県の対策には、例えば避難所には「精米を送る」という時代にそぐわないことが書かれていた。これは各家庭に薪があり、飯盒炊飯が出来るという昔の生活を前提としたものだ。また避難所の設置マニュアルもなかった。1995年の阪神大震災の後なのに対策の見直しをされていなかったのだ。

更に先生は入念な防災訓練をして、関係機関担当者とも顔を合わせ、名刺交換をしていた。これが200010月の鳥取県西部地震の際に大変役立ったとのことだ。地震が起こってから関係機関担当者が初対面のような対策本部ではとても住民の命を救えない。

行政は「現場本位」「住民本位」で対策を立てることが需要だという事が切実に伝わってきた。そして、「平素からできていないことはいざとなってもできない」と、つまり私達一人一人の「平素からのふるまい」が重要で、それがいざという時に命を守れるかどうかにつながるのである。そのことを胆に銘じなければならない。これは大地震ばかりのことではなく、他の災害、コロナのような感染症にも通じることが多いと思った。

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